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2016年10月13日 (木)

お城の漆塗り

国宝松本城は毎年、9月から10月上旬にかけて漆の塗り替え工事が行われています。
外壁の黒漆と月見櫓の赤漆を塗り直します。台風の季節ですが、それだけに天気が予測しやすく、適度な湿度もあり、塗り替え工事がしやすいのだそうです。せっかくお城に来たのに工事中でいい写真が撮れない、と嘆かないで、文化財の漆塗りの作業を間近で見られる貴重な機会ととらえてもらえればうれしいです。地元の業者の碇屋さんは、昭和の大修理以降ずっと、漆塗りだけでなく、屋根、壁、床、諸所傷んだところがないか確認し、応急処置をしてくださっている、お城の守り人です。

Photo月見櫓の赤漆は、紫外線で劣化して浮いた部分を欠き落として、コクソという、今の材料で言えばパテ材にあたるものを塗って平らにし、『さび』という非常に粒子の細かい土と漆を混ぜたもので表面を均し、赤漆を塗って仕上げていました。しかし、これを50年以上繰り返した結果、塗厚が厚くなり、元の塗厚さに戻す必要があるということで、ここ数年はコクソで盛り上げるのはやめにして段差の角を無くす程度にとどめ、平らにならすことをやめているそうです。これをまた数十年繰り返すことによって、厚くなったところが順次剝がれて元の塗厚さに戻せるのだそうです。気の長くなるような話です。国宝でなければ、厚くなったところを欠き取ってしまうのだろうけれど、そんな作業をして万一木地を傷めたら大事です。

Photo_2

現場で使われている『さび』の材料の土は、泥団子のようです。これを削って漆と練って使うそうです。奈良県で80過ぎの職人さんが作っていましたが、高齢のため昨年で廃業だそうです。ありったけ買い占めたそうですが、文化財の保存修理につ必要な材料自体が現在普通に流通しないものが多く、生産が途絶えてしまうことも心配です。

碇屋さんは、漆塗りだけでなく、金物の補修なども行っています。山車などの飾り金具などの型取をし、金物業者に持ち込んで細部にわたる打合せをし、できたものに漆で金箔を貼り付けるのだそうです。電極を使った金メッキは、地金を劣化させるため、文化財の補修には向かないのだそうです。以前は跡を継がないと言っていた息子さんが最近は修行に励んでいるそうで『息子が箔をやると施主は儲けもんだ』と笑っていました。箔貼りが厚くなって金の使用量が多くなるのだと。




 

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