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2013年6月13日 (木)

片倉製糸の遺構とイオンモール

昨夜は建築士仲間で、5月末に発表されたカタクラモール跡地他に計画されている
イオンモールのイメージ画を元に、地元の建築士なら、という、イオンモールについての
計画案を、(事業者抜きで勝手に)考えて盛り上がってきました。

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発表された案は、おそらく生物科学研究所より北側の区画から、日の出町の通りを
挟んだ北側のほうを望む感じで描かれていると思います。
手前のほうに江戸時代の城下町をイメージしたと思われる低層で小規模建物を配置し
人の溜まりの空間もあり、円形のアルプスもきれいに見えてパッと見好印象を受けます。
しかし、よくみると、奥(北)のほうに色調を落として巨大なショッピングモールがあり、
その西側にパーキングタワーと思われるものもあります。また遠景のアルプスは
松本からのものでなく池田町のものだそうで、(イメージを惹き立てるための作戦か?)
さらにいえば、この敷地のあたりは城下町から外れていて、町屋が並んでいれば
松本らしさを感じるだろうという安直な発想が残念です。松本らしさ、を考える時、
松本のこのエリアらしさ、というものを考え忘れてしまったようです。
このエリアは、明治以降、片倉製糸工業の進出によって急速に近代化された場所です。
世界のシルク王といわれた片倉の発展の基盤は、岡谷のみならず松本でもあったのです。
工場だけでなく、事務所棟(現カフラス)、研究所(現生物科学研究所)も造られ、
常に品質の向上、生産性の向上に努め、得た利益を社会に還元しつつ、
それにより地域とともに大きくなってきたところも大きい、松本市の近代化を語る上で
無くすことのできない企業があった、ものづくりによって発展した地区です。
製糸業だけでなく、関連業者や、そこで働く人を顧客にした商売などが周辺に進出し
急速に人口が増え、学校や公共施設もつくられ、文教地区としての顔も持っています。
中心市街地のはずれという感じのエリアで、郊外型の大規模モールが造られるのは
違和感を感じますし、まちなかの交通や既存商店との問題も大きくなることは
容易に推測できます。

松本の中心市街地に(周辺にももういくつも郊外型ショッピングタウンができている)
巨大なショッピング施設は要らないと思います。それよりも、そこに行くと
楽しい空間、気持ちよく過ごせる空間があるといいなと思います。
それは空調が完備された屋内空間でなく、松本の心地よい四季を感じて
きれいな景色を見て、湧水を楽しんで、おいしいものを食べて、
伝統的なものから新鋭的なものまでものづくりの見学や体験ができたり、
造り手(生産者)とじかにやり取りできて安心した買い物ができたり

ヒューマンスケールが大事なんだろうと思います。

古い建物というものは、『その地域に合ったスケールの物差し』なんだそうです。
なるほど、という気がします。大名町の旧勧銀ビル(現アルモニービアン)や
NTTの旧社屋もそうですね。中町も蔵造りの町屋がそれで、ビルが建てられたら
やっぱりまちとして違和感を感じます。

このイオンモール予定地には、カフラス規模の建物がシックリくるようです。
とはいえ、イオンさんも商売がありますからボリュームのあるものを造らねば
商売が成り立たないのかと思います。
今現在のカタクラモールより敷地が大幅に増えるので、分散型で建物周りの
空地を活かした青空モールという発想はどうでしょう?
文教地区ということも敷地の内部に引き込むために、また、このエリアが
イオンさんの商売だけでなく観光都市松本の将来の発展に寄与するように
敷地内に博物館をつくりそれから繋がる空間として
生物科学研究所やカフラスの建物を魅力的に改修活用し、
商売と文化が融合した、地元の人間と観光客が両方楽しめるゾーンになったら
素敵だなと思います。
カフラスの東側にあるという『素敵な庭』も拡張し、庭園エリアが中心にある
文化度が高いショッピングモールってステータスも高いと思います。
敷地内に、アルプスや美ヶ原がきれいに見える場所を何箇所かつくったり
美術館のように大きな木を植えたり、そんなことで極上の気持ちの良い場所が
造れるとても魅力的な場所だということを活かしてもらいたいと思います。

少子高齢化や賃金が上がりにくい経済情勢、物あまりの時代で
買い物客以外の集客ができることが地域の活性化に繋がるのだと思います。

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